ページタイトル:波崎の大タブ 当サイトのシンボル

画像:波崎の大タブ_1

画像:波崎の大タブ(幹と並ぶ)

画像:波崎の大タブ_2

画像:波崎の大タブ(タブノキと石仏)
名称 波崎の大タブ (はさきのおおたぶ)
名称の典拠 現地の案内板(注1)
樹種 タブノキ
樹高 15m(注2)
目通り幹囲 8.2m(注2)
推定樹齢 1000年余(注3)
所在地の地名 茨城県神栖市波崎(注4)
 〃 3次メッシュコード 5340−56−14
 〃 緯度・経度 北緯35度46分04.4秒
           東経140度48分15.8秒
茨城県指定天然記念物(1960年12月21日指定)(注5)
撮影年月日 2010年2月12日
注1)1990年7月8日に波崎町教育委員会が設置(町村合併後、設置者名を神栖市教育委員会に訂正)
注2)環境庁「日本の巨樹・巨木林 関東版(T)」による
注3)上記案内板による
注4)2005年8月1日、鹿島郡内の2町が合併して神栖市誕生。旧行政区は鹿島郡波崎町
注5)茨城県教育委員会のWEBサイト「いばらきの文化財」による。上記案内板は指定日を1960年12月13日としている





 房総半島、鹿島灘の海岸線から1kmとちょっと内陸側の集落内に真言宗智山派のお寺がある。利根川河口までは約4.5km。茨城県の南端と言ってもおかしくない場所である。
 お寺の名は益田山神善寺。嘉保2年(1095)に僧定祐が開山したと伝える古刹だ(平凡社「茨城県の地名」による)。本尊の大日如来座像(茨城県指定文化財)をはじめ、多くの文化財を伝えるお寺でもある。(写真に見える朱塗りの釈迦堂は神栖市指定文化財)
 その神善寺の山門を入ってすぐ左手に、このタブノキが立っている。
 印象としては、タブノキ独特の力強い根張りの上に巨大な瘤があり、そこから伸びた太い幹が幅広の樹冠を支えている、といった感じ。
 その根張りや瘤が、並の大きさではない。
 2000年の環境省フォローアップ調査では全国第5位にランクされているが、第2位とされる「原のタブノキ」と第4位とされる「狩場のタブノキ」は、実のところ、この「波崎の大タブ」よりはるかに細い。従って、私が知る限り、少なくとも全国第3位以内にランクされるべきタブノキの巨木である。もちろん、茨城県内のタブノキ中、最大。
 天然記念物であるから、横に伸びた大枝を柱で支えるなど、タブノキの現況を損なわぬよう手だてが講じられていることはもちろんだが、このタブノキにはそれ以上の崇敬の気持ちが込められているように思う。
 巨木の周辺を小さな石仏が取り囲んでいる。各所でしばしば目にする光景だが、参道横の石仏がみなタブノキの方に向いている。普通は巨木を背にしているものだ。こんな配置は珍しい。石像たちは、私たちとともに、あるいは私たちを代表して、タブノキを拝んでいるように見える。
 大いなる者の存在を認め、それを畏怖することは、逆に見れば、己れ自身を誇大視せず、足下から自分を見直すことにつながるように思う。
 とかく「私は…」と、大したことでもない少しばかりの長所を自己宣伝するよう吹聴される世の中にあって、「そんなにキツバラず、もっと謙虚に生きようよ」との教えであろうか。
 
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