ページタイトル:水木沢天然林の大サワラ 当サイトのシンボルマーク

画像:水木沢天然林の大サワラ(幹と並ぶ)



画像:水木沢天然林、コース上に設置された鐘
 熊に警告するための鐘
名称 水木沢天然林の大サワラ
    (みずきさわてんねんりんのおおさわら)
名称の典拠 なし
樹種 サワラ
樹高 不明
目通り幹囲 6.7m(注1)
推定樹齢 550年(注1)
所在地の地名 長野県木曽郡木祖村小木曽(おぎそ)
 〃 3次メッシュコード 5337−75−88
 〃 緯度・経度 北緯35度59分33.6秒
           東経137度43分29.4秒
天然記念物指定 なし
撮影年月日 2021年11月4日

注1)木祖村役場産業振興課の公式ウェブページ「源流の里信州木祖村」中の「水木沢天然林」による。なお、同ページには「みずきざわ」の読みが示されていたので、私のサイトでも当初はそう読んでいたが、どうやら濁らずに「みずきさわ」と読むのが正しいようだ





 木曽川の支流笹川の、そのまた支流水木沢一帯に広がる国有林が水木沢天然林である。(面積は82ha)
 林野庁中部森林管理局のウェブサイトによると、かつての尾張藩が江戸時代にこの森を伐採した事実があるという。その際、木材として利用できそうな木は全て伐られてしまったが、形質の悪い木や細い木などは生き残った。そして、伐採後に出来た明るい空間にそれらの子孫も芽ばえ、「針葉樹と広葉樹が混交している大変貴重な天然林」ができたとのことである。(因みに、いったん伐採された後に自然に育った森を「天然林」、昔から全く人の手が入らない森を「原生林」と呼ぶらしい)
 また、水木沢は環境省選定「平成の名水百選」の一つでもある。名称は「木曽川源流の里 水木沢」。(注2)
 村民は大河木曽川の源流がここにあることを誇らしく思っているようで、上記の村公式ウェブサイトをはじめ、国道19号沿いの道の駅など様々な場所で「源流の里」の文字を目にする。「水の始発駅」と称することもあるようだ。
 現在、この森には遊歩道が整備され、林内を自由に散策できる。(ただし冬期間は閉鎖)
 林内の遊歩道は大きく3つのコースに分かれ、「原始の森コース」「太古の森コース」「源頭の森コース」と名付けられている。(「源頭の森コース」については、入林は正午まで、単独での入林禁止)
 実は、この年5月にも訪ねたことがあった。しかし、前年7月の豪雨災害で遊歩道が崩れてしまったそうで閉鎖中。管理棟に向かう道路の入口で通行止めとなっていた。
 今回は入林可能なことを確かめてあったが、到着は午後3時頃。「源頭の森コース」の巨大ナラ(分岐点から200mほどの場所だが)は次の機会に回すことにした。まだ完全復旧できていないとのことで「太古の森コース」も立入禁止になっていたため、巨大ヒノキも次回。今回は大サワラだけで我慢する。
 晩秋に近い平日の夕刻近くなので、当然と言えば当然だが、入林者は私のみ。広い駐車場には私の車のほか1台もなかった。
 私は熊除け鈴持参なのでお借りしなかったが、管理棟では希望者に鈴を貸し出しているようだ。コース上に熊が出ることがあるのだろうか。
 さらに、コースの途中、距離200mほど毎に左下図のような鐘が設置されている。熊と戦える自信のない私は、設置場所毎に思いっきり強く鳴らした。予想より遥かに大きな音が出た。これなら200m以上遠くまで音が届くことだろう。
 管理棟から大サワラまでは約600m。緩くはないが、かと言って険し過ぎもしない程度の登り。日は未だ沈んではいないが、ここは東斜面であるため山陰(やまかげ)となって、日は差し込まない。周囲に淡く軟らかい光が漂い、細部に至るまで森の息吹を描き出して見せる。広い森のなか、たった一人で静寂に包まれる雰囲気も良いものだ。
 疲れが出始めた頃、大サワラに着いた。
 傍らに立つと、なかなかの大きさだ。
 ところで、大サワラ以外にも、原始の森コースにはサワラが多い。大抵は江戸時代の伐採時に細すぎて伐り残された個体だと思うが、大サワラが残る理由は違うのかも知れない。
 途中から3幹に分かれる木を「三頭木」と称し、杣人たちから神が宿ると崇められたという話を聞いたことがある。
 この大サワラも三頭木である。もしかしたら、そんなことから伐採を免れたのかも知れない。

注2)ただし水木沢は木曽川本流の源流ではない
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