ページタイトル:吉村家跡防風林のスギ ロゴ:人里の巨木たち

画像:吉村家跡防風林のスギ(幹と並ぶ)

画像:吉村家跡防風林のスギ
名称 吉村家跡防風林のスギ
    (よしむらけあとぼうふうりんのすぎ)
名称の典拠 なし(注1)
樹種 スギ
樹高 不明
目通り幹囲 8m(注2)
推定樹齢 500年(注2)
所在地の地名 奈良県吉野郡十津川村三浦
 〃 3次メッシュコード 5135−05−36
 〃 緯度・経度 北緯34度01分51秒
           東経135度42分21秒
天然記念物指定 なし
撮影年月日 2014年3月27日

注1)十津川村教育委員会が設置した案内板に「吉村家跡防風林」とあったので、その表現を借用した
注2)上記案内板による





 高野山と熊野本宮大社を最短距離で結ぶ熊野古道が「小辺路(こへち)」だ。紀伊半島の中央を真っ直ぐ結ぶのであるから、1千メートル級の峠を3つも越えなければならぬ難路である。
 吉村家跡防風林のスギに会うため、小辺路の一部、五百瀬(いもぜ)から三浦峠への道を登った。
 登り始めてしばらくは、路傍に家が散見される。車の通わぬこんなところにも住んでおられる方がいるのだ(失礼)。
 この三浦集落までの古道は、村道五百瀬三浦線でもある。郵便物はこの道を通って家の戸口まで運ばれる。神納川(かんのがわ)に架かる吊橋(「舟渡橋(ふなとばし)」)が頑丈そうだったのも、村道なればこそなのだろう。
 歩き始めて約35分、異形の大杉群が待っていた。
 いわゆるオモテスギの典型とも言える吉野杉たちのなかに突如現れたウラスギ集団。私ならずとも、印象は強烈だと思われる。
 集団中、上図の個体が図抜けて大きい。案内板にあった4〜8mの幹囲のうち、8mとされたのはこのスギであろう。
 大きさもさることながら、まるで不動明王が放つ火炎を思わせるような樹形がすばらしい。心中で思わず「恐れ入りました」と呟く。大きさ以上の迫力である。
 かつてここには、旅籠(はたご)を営む吉村家の屋敷があった。昭和23年(1948)頃まで、実際に住んでおられたらしい。今は建物は何も無く、石組みが残るのみである。
 主人(あるじ)を失った防風林の勇士たちがどことなく寂しげに見えたのは、まだ若葉が伸びる前の季節だったからだろうか。
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